技能実習生から特定技能へ移行・切り替えるには?条件や手続き等を解説
人手不足に対応するために新設された在留資格「特定技能」は要件を満たせば技能実習生からの切り替えが可能となっており、優秀な人材を長く雇用できるなど企業にとってもメリットがある制度となっています。
この記事では技能実習生から特定技能への移行の為の条件や手続き方法、特定技能へ移行するメリットとデメリットについて解説をします。技能実習から特定技能への移行をお考えの企業の方は是非最後までご覧になってください。
・技能実習から特定技能へ移行するための条件
・特定技能への切り替えが可能な業種・職種
・特定技能へ切り替えるメリット・デメリット
・技能実習から特定技能へ移行する手続き方法
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技能実習から特定技能へ移行するための条件
技能実習生から特定技能への切り替えについては、特定技能の対象となる職種のみ可能となっており、『すべての技能実習生』が、『無条件に特定技能へ移行できる訳ではない』です。
切り替えが可能な職種は以下の通りです。
技能実習生から特定技能へ切り替えが可能な職種
以下の特定技能1号の対象になる12の分野において、技能実習生から特定技能への切り替えが可能です。
- ①介護
- ②ビルクリーニング
- ③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- ④建設
- ⑤造船・舶用工業
- ⑥自動車整備
- ⑦航空
- ⑧宿泊
- ⑨農業
- ⑩漁業
- ⑪飲食料品製造業
- ⑫外食業
特定技能の対象となる業種・職種に関しては以下の記事で詳しく解説しているため、良かったら参考にしてみてください。
☑ 関連記事:【最新】特定技能外国人の職種・業種一覧まとめ【2022年】
特定技能への移行の要件
また、技能実習生から特定技能への移行については必要な要件があります。
要件は以下の通りです。
・技能実習2号を良好に修了
・技能実習での職種/作業内容と、特定技能1号の職種が一致
技能実習1号から特定技能への移行は認められず、技能実習2号を修了した後であれば特定技能に切り替えることができます。つまり、技能実習は1号から2号修了までの3年間は特定技能に切り替えることはできません。
また、技能実習3号から特定技能に切り替える場合は、3号の実習計画を満了することが要件となっています。
本来であれば、特定技能の在留資格を得るためには「日本語能力試験」と、業種ごとの「技能試験」に合格しなければならないのですが、上記の「技能実習2号を良好に修了」をクリアしていれば、技能実習の業種・作業に関わらず、日本語の試験が免除されます。
さらに、従事する業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められれば技能試験も免除となります。
また、技能試験の免除は「技能実習時代の作業」と「特定技能でこれから行う業務」が関連しているという場合にのみ、技能試験が免除となります。これは、企業側の外国人人材の受け入れと支援をする体制を確保する為に重要な事だからです。
「技能実習2号を良好に修了している」というのは、技能実習を計画通りに2年10か月以上修了している事です。
特定技能へ切り替えるメリット・デメリット
ここからは、技能実習生から特定技能へと移行をするとどんなメリットとデメリットがあるのかついて解説をしていきます。特定技能の良い部分と悪い部分を考慮して、切り替えるようにしましょう。
特定技能へ移行するメリット
技能実習生から特定技能へ移行する最大のメリットとしては、優秀な人材がより長く日本に滞在することができるようになることです。
技能実習は1号~3号までの最長5年間の在留期間となっており、5年以上日本に滞在することはできません。しかし、特定技能1号に移行すると通算5年の在留期間が延長され、日本に残って欲しい優秀な人材を企業は確保することができます。
「特定技能に移行する」という選択肢は、帰国せずに日本で働き続ける事が可能になりますので、技能実習生にとってもメリットとなります。
特定技能へ移行するデメリット
特定技能の在留資格では、技能実習生と比較して規制が緩和されます。それだけ聞くとデメリットには感じられないかもしれませんが、一定の範囲での転職が可能になります。転職される可能性があるという点では、企業としてはデメリットになってしまう場合もあります。
また、特定技能の給与は「日本人と同等以上」となってしまうため、技能実習生よりも高い給与を支払わなければなりません。これは、特定の技能を有しているという事を考えれば、当然の事と言えますが、企業にとっては費用面での負担となることが考えられます。
さらに、外国人雇用特定の手続き、登録支援機関への委託も費用がかかってしまうため、同等能力の日本人人材と比べてコストが高くなってしまいます。
技能実習から特定技能へ移行するための手続き方法
技能実習生から特定技能への切り替え手続きを行う場合は、地方出入国在留管理局に移行の申請・書類を提出します。
地方出入国在留管理局に提出する書類を元に審査が進み、審査にかかる期間はおよそ1~2か月程の期間がかかります。
審査に通ると、「特定技能1号」の在留資格認定証明書が発行となります。場合によっては、それぞれの国籍がある出国の手続きが求められる場合等も考えられますが、日本在留の外国人であれば、在日大使館などで本人が手続きをすることになります。
国籍により手続きが異なるので、早めに内容を確認し、準備を勧めた方が良いでしょう。技能実習から特定技能へ移行する場合の手続きは登録支援機関が代行して行ってくれるため、複雑な手続きに困った場合は、登録支援機関に委託すると良いです。
まとめ
以上、技能実習生から特定技能へ移行するための、条件や手続き方法、そしてメリットとデメリットについて解説をしてきました。
技能実習生から特定技能への移行という流れは、企業の人材不足という問題の有効な対策として徐々に広がりつつあると言えます。
また、一部の分野以外では特定技能外国人の受け入れ人数の上限はなく、即戦力人材の確保、人手不足問題の解消などのメリットもありますが、一定の範囲での転職が可能になり、日本人と同等以上の給与や、必要な手続き登録支援機関への委託費用などのコストがかかるというデメリットもあります。
移行の為に必要な事項、特例措置などをしっかりと理解・活用し、外国人雇用の円滑化を図っていきましょう。