監理団体の一般監理事業と特定監理事業の違いとは?

監理団体の一般監理事業と特定監理事業

技能実習事業を行う監理団体には、一般監理事業と特定監理事業の2種類がありますが、何がどう違うのか分からない方も多いかと思います。

そこで、この記事では一般監理事業と特定監理事業ではそれぞれどういった違いがあるのか詳しく解説をしていきます。

この記事で分かること

・一般監理事業と特定監理事業の違い

・一般監理事業とは

・特定監理事業とは

・一般監理事業(優良な監理団体)になるための要件

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一般監理と特定監理の違いとは

一般監理と特定監理では、「受入れ可能な区分」「許可の有効期間」「受入れ可能な人数枠」が異なります。

表にまとめると以下のようになります。

 受入れ可能な区分許可の有効期間受入れ可能な人数枠
特定監理事業1号~2号3年又は5年*1号:基本人数枠
2号:基本人数枠の2倍
一般監理事業1号~3号5年又は7年*1号:基本人数枠
2号:基本人数枠の2倍
3号:基本人数枠の6倍

*監理事業に関して優れた能力、実績があると判断された場合

最も大きな違いとしては、技能実習3号(技能実習4~5年目)を受け入れることができるかどうかです。特定管理事業では1号~2号までしか受入れができませんが、一般監理事業になると1~3号までを受け入れることができます。

3号まで受け入れが可能になると、最長5年まで技能実習を行うことができ、できるだけ長く技能実習生を受け入れたいという企業は一般監理事業の監理団体を介して技能実習を行う必要があります。

特定監理事業と一般監理事業のそれぞれの特徴については以下で詳しく解説をしていきます。

特定監理事業

特定監理事業は技能実習1号(1年目)と技能実習2号(2~3年目)の実習生を受け入れることができ、技能実習3号(4~5年目)は受け入れることができません。特定監理事業の監理団体を介して技能実習を行う場合は、最長3年までの受け入れとなります。

どの監理団体も特定監理事業から始まり、一般監理事業の認定要件を満たす実績などを積み重ねていくことで、一般監理事業になることができます。

一般監理事業

一般監理事業は優良要件を満たした監理団体のことを指します。要件を満たすと「優良な監理団体」として一般監理事業として認められ、特定監理事業よりも受入期間や受け入れ可能人数枠などが優遇されます。

一般監理事業になると技能実習3号まで受け入れることができ、最長5年までの技能実習を行うことができます。

監理団体の数

2022年7月4日現在、全国の監理団体の数は3,540団体となっています。

監理団体の内訳

一般監理事業の許可:1,788団体
特定監理事業の許可:1,752団体

一般監理団体と特定監理団体の割合はほぼ半々となっており、僅かながら一般監理団体の方が多くなっています。

一般監理団体と特定監理団体の一覧は以下をご参照ください。

参照:出入国在留管理庁 監理団体の許可

一般監理事業の優良要件

一般監理事業は、以下の表の項目で6割以上の点数(150点満点で90点以上)を獲得することで優良の認定を受けることができます。

①団体監理型技能実習の実施状況の監査その他の業務を行う体制配点
Ⅰ 監理団体が行う定期の監査について、その実施方法・手順を定めたマニュアル等を策定し、
監査を担当する職員に周知していること。
・有 : 5点
Ⅱ 監理事業に関与する常勤の役職員と実習監理を行う実習実施者の比率・1:5未満 : 15 点
・1:10 未満 : 7 点
Ⅲ 直近過去3年以内の監理責任者以外の監理団体の職員(監査を担当する者に限る。)の講習受
講歴
・60%以上 : 10 点
・50%以上 60%未満 : 5点
Ⅳ 実習実施者の技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員等に対し、毎年、研修の実施、
マニュアルの配布などの支援を行っていること
・有 : 5点
Ⅴ 帰国後の技能実習生のフォローアップ調査に協力すること。・有 : 5点
Ⅵ 技能実習生のあっせんに関し、監理団体の役職員が送出国での事前面接をしていること。・有 : 5点
Ⅶ 帰国後の技能実習生に関し、送出機関と連携して、就職先の把握を行っていること。有 : 5点
②技能等の修得等に係る実績配点
Ⅰ 過去3年間の基礎級程度の技能検定等の学科試験及び実技試験の合格率(旧制度の基礎2級
程度の合格率を含む。)
・95%以上:10 点
・80%以上 95%未満:5 点
・75%以上 80%未満:0 点
・75%未満:-10 点
Ⅱ 過去3技能実習事業年度の2・3級程度の技能
検定等の実技試験の合格率
<計算方法>
分母:新制度の技能実習生の2号・3 号修了者数
-うちやむを得ない不受検者数
+旧制度の技能実習生の受検者数
分子:(3 級合格者数+2 級合格者数×1.5)×1.2
* 旧制度の技能実習生の受検実績について、施
行日以後の受検実績は必ず算入。
・80%以上:20 点
・70%以上 80%未満:15 点
・60%以上 70%未満:10 点
・50%以上 60%未満:0点
・50%未満*:-20 点
* 左記の計算式の分母の算入
対象となる技能実習生がいない場
合を含む。
Ⅱ-2(1) 直近過去3年間の3級程度の技能検定等の実技試験の合格実績・2以上の実習実施者から合格
者を輩出:15 点
・1の実習実施者から合格者を
輩出:10 点
・上記以外:-15 点
Ⅱ-2(2) 直近過去3年間の2級程度の技能検定等の実技試験の合格実績・2 以上の実習実施者から合格
者を輩出:5 点
・1 の実習実施者から合格者を
輩出:3 点
Ⅲ 直近過去3年間の2・3級程度の技能検定等の学科試験の合格実績
*2級、3級で分けず、合格人数の合計で評価
・2 以上の実習実施者から合格
者を輩出:5 点
・1 の実習実施者から合格者を
輩出:3 点
Ⅳ 技能検定等の実施への協力
* 傘下の実習実施者が、技能検定委員(技能検定における学科試験及び実技試験の問題の作成、採点、実施要領の作成や検定試験会場での指導監督などを職務として行う者)又は技能実習評価試験において技能検定委員に相当する者を社員等の中から輩出している場合や、実技試験の実施に必要とされる機材・設備等の貸与等を行っている場合を想定
・1 以上の実習実施者から協力
有:5 点
③法令違反・問題の発生状況配点
Ⅰ 直近過去3年以内に改善命令を受けたことがあること(旧制度の改善命令相当の行政指導を含む。)・改善未実施 : -50 点
・改善実施 : -30 点
Ⅱ 直近過去3年以内における失踪がゼロ又は失踪の割合が低いこと(旧制度を含む。)・ゼロ : 5点
・10%未満又は1人以下 : 0 点
・20%未満又は2人以下:-5点
・20%以上又は3人以上:-10 点
Ⅲ 直近過去3年以内に責めによるべき失踪があること(旧制度を含む。)該当 : -50 点
Ⅳ 直近過去3年以内に傘下の実習実施者に不正行為があること(監理団体が不正を発見して機構(旧制度では地方入国管理局)に報告した場合を除く。)・計画認定取消し(実習監理す
る実習実施者の数に対する認
定を取り消された実習実施者
(旧制度で認定取消し相当の
行政指導を受けた者を含む。)
の数の割合)
15%以上 -10 点
10%以上 15%未満 -7点
5%以上 10%未満 -5点
0%を超え5%未満 -3点
・改善命令(実習監理する実習
実施者の数に対する改善命令
を受けた実習実施者(旧制度
で改善命令相当の行政指導を
受けた者を含む。)の数の割
合)
15%以上 -5点
10%以上 15%未満 -4点
5%以上 10%未満 -3点
0%を超え5%未満 -2点
④ 相談・支援体制(最大45点)配点
Ⅰ 機構・監理団体が実施する母国語相談・支援の実施方法・手順を定めたマニュアル等を策定し、関係職員に周知していること・有 : 5点
Ⅱ 技能実習の継続が困難となった技能実習生(他の監理団体傘下の実習実施者で技能実習を行っていた者に限る。)に引き続き技能実習を行う機会を与えるための受入れに協力する旨の機構への登録を行っていること。実習監理を行う実習実施者の数
に対する登録した実習実施者の
数の割合
50%以上 15 点
50%未満 10 点
Ⅲ 直近過去3年以内に、技能実習の継続が困難となった技能実習生(他の監理団体傘下の実習実施者で技能実習を行っていた者に限る。)に引き続き技能実習を行う機会を与えるために、当該技能実習生の受入れを行ったこと。実習監理を行う実習実施者の数
に対する受け入れた実習実施者
の数の割合
50%以上 25 点
50%未満 15 点
Ⅳ 技能実習生の住環境の向上に向けた取組
(ⅰ)入国後講習時の宿泊施設
(ⅱ)実習時の宿泊施設
・有 : ⅰ 5点/ⅱ 5点
⑤地域社会との共生配点
Ⅰ 受け入れた技能実習生に対し、日本語の学習の支援を行っている実習実施者を支援していること・有 : 4 点
Ⅱ 地域社会との交流を行う機会をアレンジしている実習実施者を支援していること・有 : 3 点
Ⅲ 日本の文化を学ぶ機会をアレンジしている実習実施者を支援していること・有 : 3 点

出典:OTIT 外国人技能実習機構

まとめ

以上、監理団体の特定監理事業と一般監理事業の違いについて解説をしてきました。

要点をまとめると以下のようになります。

・特定監理事業は1号~2号まで受け入れることができ、3号は不可
・一般監理事業(優良な監理団体)は1号~3号まで受け入れることができる
・一般監理事業の認定を受けるには優良要件を満たす必要がある

技能実習3号(4年~5年目)の受け入れを希望している企業は、一般監理事業の監理団体を通じてしか3号を受け入れることができないため注意してください。また、受け入れ企業(実習実施者)自体も優良要件を満たしていないと、3号を受け入れることができません。

3号の受け入れを希望している企業は実習実施者の優良要件についても確認しておきましょう。

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