外国人技能実習生と日本人採用のコスト比較|費用・勤続期間・意欲などを比べてみた

「外国人技能実習生の採用を検討しているが、日本人を採用したほうが将来的にいいんじゃないかと悩んでいる」
「外国人を採用したいが、実際にどのくらい働いてくれるか不安」
技能実習生の監理団体をしている協同組合ハーモニーでは、そんなお悩みをよく聞きます。実際外国人技能実習生を採用したことがない企業では、特にこういった不安が大きいのではないのでしょうか。
本記事では、外国人技能実習生と日本人の採用にかかるコストを徹底比較。費用・勤続期間・労働意欲など、実際外国人技能実習生の採用に携わっている協同組合ハーモニーが解説していきます。外国人技能実習生の採用に悩んでいる企業の方は、ぜひ参考にしてください。
外国人技能実習生と日本人の採用にかかる費用の比較
まずは外国人技能実習生と日本人を採用する際にかかる費用の比較をしていきます。ここでは日本人の中途社員採用と比較していきます。
外国人技能実習生の採用にかかる費用
外国人技能実習生を採用する場合、採用前後に以下のような費用がかかります。
- 監理団体の入会金・年会費
- 現地面接の渡航費
- 在留資格申請
- 技能実習生総合保険料
- 健康診断費用
- 入国前講習費
- 入国後講習費
- 講習中の手当
- 入国渡航費
- 社宅準備費
監理団体や社宅の準備など費用に幅がありますが、約60~140万円がかかります。ちなみに外国人技能実習生を採用する場合1人だけ採用するケースは少なく、3人ほどの採用から始めるケースがほとんどです。そのため1人あたりの採用にかかる費用としては、約20万円~50万円と言えます。
ちなみに現地面接ですが、ZOOM等のオンラインも可能です。ただし初めて受け入れる場合、実習生の生活環境や食事等の状況確認も兼ねて現地面接が望まれます。さらに、オンラインでは画面の中の様子しかわからず、みんな同じように見えてしまう傾向があるので、あまりおすすめはできません。
また技能実習生を採用した場合、採用後監理団体と送り出し機関への費用が月額3~4万円かかります。これは日本人採用にはない費用なので、その点は留意しておいてください。
技能実習生の受け入れにかかる費用については、下記記事にて詳しくまとめています。


日本人の採用にかかる費用
日本人中途社員を採用する場合、採用前に以下のような費用がかかります。
- 求人広告への掲載費用
- 会社パンフレットや採用サイトの制作費
- 採用管理ツールの費用
株式会社リクルートが発表した「就職白書2020」によると、2019年中途社員1名あたりの採用単価は103.3万円となっています。なので採用単価においては、外国人技能実習生の方が安いことがわかります。
外国人技能実習生はほぼ100%採用できる点も魅力
外国人技能実習生の場合、ほぼ100%採用できる点も魅力です。
協同組合ハーモニーでは外国人技能実習生採用のため現地の面接に同行しますが、その際希望採用数の3倍の人を面接に手配します。3人の採用を希望されている企業であれば、面接には10人ほど来てくれます。その中から採用する企業に合う3人を選ぶので、ほぼ100%採用できるということです。
一方日本人の中途採用の場合、企業間の取り合いになります。そのため条件をよくしないとなかなか応募が集まらないなどの状況に陥ってしまいます。そのため安定して労働できる人材を確保したいのであれば、外国人技能実習生を採用したほうがいいでしょう。
外国人技能実習生と日本人の勤続期間の比較
続いては外国人技能実習生と日本人中途採用の勤続期間を比較していきます。勤続期間が長ければ、その分採用にかかるコストは下がっていきます。そのため実際に勤続期間は、採用コストを考える上で非常に重要です。
外国人技能実習生の勤続期間
外国人技能実習生の場合、最大5年の雇用が認められています。技能実習生を採用した場合、まず技能実習1号として採用され1年間実習します。その後試験を受けて合格して、在留資格の変更をしていくと技能実習2号として2年、技能実習3号として2年働けるので、合計5年働けます。ただし業種によっては3号への移行が認められていないので、その場合は最大3年働けることになります。
また技能実習生として採用したのち、継続的に働いてもらいたい場合は特定技能に移行するケースもあります。特定技能2号として採用した場合、在留期間が特定技能1号は最大5年間、特定技能2号で在留期限が無期限になるので、実質的に日本に永住するチャンスを得ることができます。
ちなみに協同組合ハーモニーの外国人技能実習生の場合、95~97%の人が定められた最大期間職務を全うしてくれます。実習生は現地の送出し機関から実習生としての教育を受けて日本に来ていますので、技能実習を全うする気持ちが強いです。しかし、外国人の本音は稼いで仕送りしたいという気持ちの方もいるため、残業を進んで行いたい!という方もいます。そのためどうしても日本が合わない人などを除いて、95~97%の人が勤続期間上限いっぱい働いてくれます。
日本人の勤続期間
国税庁が発表している「民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均勤続年数は12.7年(男性14.3年、女性10.4年)となっています。そのため勤続年数に関しては、日本人中途採用の方が長いということになります。
ただし日本人中途採用の場合、以下のような懸念点があります。
- 人材の流動化が進んでおり、勤続年数が短くなる可能性がある
- 勤続年数が長くなると、給料が高くなっていく
こうした点も考慮に入れたうえで、外国人技能実習生・日本人どちらが自社に合うかを考えていくことが大切です。
外国人技能実習生の採用についてよくある質問
ここまで外国人技能実習生と日本人の採用にかかるコストを比較してきました。しかし日本語でのコミュニケーションなど、外国人技能実習生を採用するハードルを高く感じられている企業の方も多いのではないでしょうか。ここからは外国人技能実習生の採用について、よくある質問をまとめてみました。
Q.外国人技能実習生は労働意欲はありますか?
外国人技能実習生の労働意欲は、むしろ日本人よりあると感じます。
実際協同組合ハーモニーを通して技能実習生を受け入れた企業にインタビューをしてみたところ、5年間で一度も欠勤者がいない企業もありました。中には日本で3年働いて、母国で家を建てたという人もいます。このように外国人技能実習生の労働意欲は、とても高い人が多いです。
参考:5年間で一度も欠勤者なし!食品製造で技能実習を行う事業者様にお話を聞きました
Q.外国人技能実習生の日本語レベルはどのくらいですか?
外国人技能実習生の場合、日本に来る時日本語能力試験N4~N5レベルです。
N4レベル:基本的な日本語を理解できる。日常的な場面でゆっくり話せば、言っていることが通じるレベル
N5レベル:基本的な日本語をある程度理解できる。日常的な場面でゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができるレベル。
技能実習生の場合18歳から20代後半くらいの年齢がメインなので、日本で働くとみるみるうちに日本語を取得していきます。また同じ技能実習生の先輩に日本語を教えてもらう、日本語の日記を書かせるなどして、企業が協力して日本語を学んでもらう環境を作ると、取得速度はさらに上がっていきます。
そのため実際に外国人を受け入れた企業では、半年ほどすると問題なくコミュニケーションがとれるケースがほとんどです。はじめは少し大変ですが、壁を乗り越えればコミュニケーションは問題なくとれますよ。
参考:溶接での技能実習生受け入れ「現場に良い刺激を与えてくれている」
Q.技能実習と特定技能だとどちらを使って採用することが多いですか?
外国人を採用する場合、技能実習と特定技能という制度があります。
技能実習:日本国内において技能や技術、知識を身に付けた外国人が発展途上国である母国で経済発展に寄与できるようにサポートする制度。最大5年雇用できる
特定技能:日本の深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性・技能を持った即戦力となる外国人を受け入れることを目的とした制度。要件を満たせば無期限の雇用が可能になる。
技能実習の方が採用ハードルが低いので、まずは技能実習として採用するケースがほとんどです。技能実習生として採用し、満期が来る前に新しい人を採用するか、特定技能として継続的に雇用するかは、企業によって判断が異なります。
長期的に外国人材を育てたい企業には外国人技能実習生がおすすめ
ここまで外国人技能実習生と、日本人採用を比較してきました。これまでの内容を踏まえて、外国人技能実習生の採用に向いているのは、以下のような企業です。
- 3年~5年安定して働いてくれる人を採用したい
- 採用競争が激しく、日本人のいい人材が確保できない
- 3人以上まとまって人材を確保したい
外国人技能実習生の魅力としては、ほぼ100%採用ができ、かつ3~5年安定して実習を続けてくれる点が挙げられます。そのため一度採用すれば、その後採用にかかる費用をカットできます。そのことを考えれば、実際にかかる費用に大きな差はないでしょう。そのため長期的に外国人材を雇用したいという企業の方には、外国人技能実習生の採用をおすすめします。
外国人技能実習生の採用は協同組合ハーモニーにご相談を
協同組合ハーモニーでは企業様が安心して技能実習生を受け入れることができるよう、万全なサポート体制を整えています。はじめて技能実習生を受け入れる方の相談、現地への面接同行、採用後の研修など、幅広くサポートをしています。もし、技能実習生の受け入れでお悩みであれば、お気軽にご相談ください。